学院年間主題

2022.06.06

「あなたの未来には希望がある」
            エレミヤ書31章17節

 今年度の学院年間主題は、預言者エレミヤの言葉です。預言者は神に祈り、神から与えられた言葉を人々に伝える働きをしていました。
 エレミヤは、BC6世紀頃の南ユダ王国で活動しました。イスラエルはBC10世紀に国が二つに分裂し、北のイスラエル王国は滅びます。南のユダ王国は残りましたが、常に周りの大国から狙われていました。エレミヤの時代には、エジプトとバビロニアが力を持っていました。ユダ王国の王はエジプトの保護を受けていましたが、エレミヤはバビロニアの方がやがて力を持つと考えていました。今は闘って多くの命を失うよりは、とりあえずバビロニアの方の支配を受け入れ、やがてバビロニアが滅びた時に国が復興できるように力を蓄えるべきだと考えました。神に祈りつつ、預言者としてその確信を持っていました。しかし王たちはエレミヤの考えに反対し、逮捕し殺そうとしました。結局紀元前587年にエルサレムは、新バビロニア帝国によって落城し、その時の王や主だった人達はバビロニアに連れて行かれます。バビロニア捕囚という歴史的な事件です。エレミヤはユダ王国に残りましたが、誤解から命を狙われるようになり、エジプトに逃れました。その後の消息は不明です。
 エレミヤは、周辺の大国が興亡する中で、自分の国は一旦亡びるだろうけれども、再興できる日が来るという、神からの希望のメッセージを伝え続けました。やがてその通りになるのですが、その頃にはエレミヤは亡くなっていました。エレミヤは涙の預言者と言われますが、エレミヤ書の「あなたの未来には希望がある」という言葉は力強いです。私はエレミヤが絶望的な状況の中でも的確な判断をし、未来への希望を伝え続けたことをすごいと思うのです。
 私たちの今の生活も、長引くコロナの影響や、終わらないウクライナへの軍事攻撃を毎日報道で見ていると、哀しい気持ちになります。戦地にいる方々とは比較できませんが、私達の心も傷つきます。学校は元気な新入生を迎えて、毎日生徒の明るい声に包まれています。それはとても幸せなことだと思っています。でも子どもたちは困難な時代を生きていることは確かです。そんな子供たちに、私たちも、エレミヤのように、「あなたの未来には希望がある」と、神さまが示されたゆるぎない希望のメッセージを伝えていきたいと思うのです。 

※写真は、学校の紫陽花です。