高3進学準備講座では「歌詞のない音楽会」と題し、ピアノ楽曲中心の音楽会がブリテンホールで開かれました。英語科教諭が1人の奏者として参加者を集めて開催したものです。
1か月前から練習を開始し、本番を迎えました。
「今まで演奏機会がなかったためにおざなりにしていた憧れの名曲を、思い出深いブリテンホールで演奏できることを嬉しく思います。」
「素敵なホールでの演奏の機会とお世話になった方々への感謝の気持ちを込めて、誰かの心を少しでも動かすことのできるような素敵な演奏を目指して精一杯頑張ります。」
パンフレットには出演者の思いがあふれるメッセージが寄せられていました。
第1部は「Various Music」スタジオジブリや映画BGM、ディズニー音楽の演奏会、第2部は「Classic Music」リストやショパン、ベートーヴェン、ラフマニノフの名曲、そして最後はピアノの連弾・クラリネット・フルートの合奏「剣の舞」の疾走感あふれるフィナーレで、幕を閉じました。
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終演後、生徒より
「何よりもまず、今回このような機会を設けて下さった官野先生には演者一同より感謝を申し上げたく思います。そしてスケジュールの合間をぬって駆けつけて下さった沢山の先生方、クラスメイト達にも、深く感謝しています。ドレスに身を包み、ピアノの音色に耳を傾ける時間、観客に囲まれて演奏する時間、それまでの道のり、明らかに格好良すぎる官野先生の演奏姿、どこをとっても貴重で尊い経験でした。
今回の出演者募集があったのは12月中旬のことです。本番までの期間はわずか1ヶ月とかなり厳しいスケジュールであったため、はじめは参加を躊躇したり、不安に思っていた生徒が大半でした。そのような状況でありながら、参加者全員、妥協なしの強気な選曲かつ高いクオリティを追い求めていたように私は思います。きっと、少し練習すればすぐ演奏できるような、みんなの前での失敗を免れることができるような”無難な曲”というものは各々が持っていたはずです。そんな中、1から曲を練習したり、難易度の高い曲や連弾・アンサンブルに挑戦するその志の高さには、他ならぬ音楽への愛とこだわり、プライドを感じました。音楽会後、出演者の中では「達成感すごい」「参加してよかった」「音楽の力ってすごい」そんな言葉で溢れ、いかにも完全燃焼!という様子だったのがとても印象的です。
ここからは元オーケストラ部員の戯言ですが、私は、今回の「歌詞がない」というテーマに注目して欲しいと思います。昨今の音楽は、歌詞を通して作曲者の伝えたい思いなどを直に受け取ることができる曲がほとんどなのではないでしょうか。無論、明確な意図を持った歌詞には計り知れないほどの共感能力があります。一方で、歌詞がない音楽における作曲者・演奏者・聴き手の間にあるのは”音”だけです。そこには言葉の持つような限定的、あるいは拘束的な力がはたらいていません。その時演奏する者、聴く者、全員がその1つの曲に対して同一の意味を共有することは難しく、もしそれを共有するならば、それこそ言葉が必要になります。しかし私は、そんな言葉や他者からフリーである”歌詞のない音楽”にこそ、”いついかなるときでも、誰に対しても寄り添う”力があると信じています。静かで暗い音楽から、心の奥底にあるふつふつとした怒りを感じ取っても、今にも涙がこぼれてしまうような哀愁を感じ取っても良いんです。この自由度が、歌詞のない音楽の最大の魅力です。
改めまして、歌詞のない音楽会に関わったすべての皆様に感謝申し上げます。素敵な時間を共有できたこと、嬉しく思います。」