理事長メッセージ

理事長 嶋田順好

理事長 嶋田順好

横浜英和学院の歩み

横浜英和学院は、1880年横浜居留地48番地にメソジスト・プロテスタント派の女性宣教師ハリエット G. ブリテン先生によって創立され、今年で創立144周年を迎えます。1916年、第8代校長オリブ I. ハジス先生の時代に現在地、蒔田の丘に移転してきました。長い間、中学高等学校は女子校でしたが、メソジスト系ミッションによって創立された学校法人という相互信頼のもと、2014年に青山学院大学と中学高等学校が系属校提携を結び、その後2018年に男女共学へ移行、2019年には小学校も青山学院大学と系属校提携を結び、今日に至っています。

「不易」と「流行」

俳聖松尾芭蕉が、蕉風俳諧の重要な理念として「不易」と「流行」ということを説いたことは、つとに知られています。弟子の向井去來が芭蕉の俳論をまとめた『去來抄』のなかで、「不易を知らざれば基たちがたく、流行を知らざれば風新たならず」とその心が説かれています。21世紀の激動の時代を歩む横浜英和学院の教育にとっても、極めて重要な視座を示してくれている言葉と言えるでしょう。

本学院にとっての「不易」とは

本学院にとっての「不易」となるものは何かと言えば、イエス・キリストの愛に基づき、「心を清め 人に仕えよ」と校訓で謳われている人格の育成に努めることにほかなりません。そこで求められることは、まずもって教職員一同が、この校訓を自らの心に刻み、日々の教育的営みのなかで体現していくことにあります。
キリスト教保育連盟発行の『幼児さんびかⅡ』20番には、次のような讃美歌が収められています。

ひとりひとりのなをよんで あいしてくださるイェスさま
どんなにちいさなわたしでも おぼえてくださるイェスさま
ひとりひとりをあいされて  うれしいときにはよろこびを
かなしいときにはなぐさめを  あたえてくださるイェスさま

(キリスト教保育連盟『幼児さんびかⅡ』より転載)

イエスの豊かな愛が、単純明快に歌い上げられています。本学院の教職員は、このイエスの愛にならって、一人ひとりの園児、児童、生徒の皆さんを、かけがえのない人格として慈しみ、貴び、響き合う心をもって育んでいく者でありたいと願っています。

本学院にとっての「流行」とは

本学院にとっての「流行」となるものは何かと言えば、これまでの日本の教育が一貫して重んじてきた、記憶を重視し、必ず正解が用意された問題を解き続ける、受け身の学びを変えていくことにほかなりません。基礎学力を持つことは極めて重要なことです。そのことをおろそかにすることはできません。しかし、膨大な知識が一瞬にして手元のスマートフォンで入手でき、ますますデジタル・トランスフォーメーションは進み、今ある多くの職業も近い将来には人工知能に取って代わられる時代を迎えようとしています。それだけに本物の思考力、判断力、表現力が問われることになります。それらの力をしっかりと身に着け、自らの個性豊かな賜物を存分に発揮し、未知なるものに果敢に挑戦していく愛に富んだ勇気ある人格を育むことが、新しい時代の胎動のなかにある本学の使命です。

横浜英和学院は、144年にわたる良き伝統をしっかりと継承しつつ、校訓「心を清め 人に仕えよ」を土台とし、これからの時代になくてはならない「地の塩、世の光」としての働きを担う、以下のような人格を育むことを志します。

1. 生かされていることを喜び感謝する人
2.自分自身に備えられた固有の賜物を見出し、それを存分に用いることができる人
3.愛において何が重要であるかを熟慮し、実践することができる人
4.勇気と志と望みをもって目標にチャレンジできる人
5.専門的な職業人として自立し、誇りをもって働ける人
6.祖国を愛しつつ、人種、言語、宗教、文化の違いを越えて他者との絆を築ける人

理事長略歴

1952年 埼玉県東松山市に生まれる
1974年 早稲田大学政治経済学部卒業
1980年 東京神学大学大学院博士課程前期課程修了
1980年 日本キリスト教団中渋谷教会の伝道師、牧師
1999年 青山学院大学国際政治経済学部助教授、大学宗教主任となり、その後、教授、学院宗教部長、副院長を歴任
2014年 宮城学院学院長に就任し、二期8年在職
2022年 日本キリスト教団三田教会牧師に就任
2023年 横浜英和学院理事長に就任

学院長メッセージ

学院長・中高校長 小久保光世

学院長・中高校長 小久保光世

横浜英和学院は、今年、創立144年を迎えます。

ウクライナをはじめとして国際情勢が一段と不安定化し、世界経済も減速傾向となっている中、国内においても能登半島地震など、今後の道筋の見えない厳しい状況が続いています。学校現場では、地球温暖化や新型コロナウイルス等の感染症の影響の中、安全にかつ継続的に園児、児童、生徒への教育を行うことが日々の最重要事項となっています。けれども、どのような状況にあっても、本学院の使命と責任は、キリスト教による人格教育を行うことにあります。

そして、グローバル社会にあって、人々と共感し、つながり、平和な世界を創り出す原動力となる働きのできる人間の育成。それは、144年前に海を越えて横浜の地を踏み、本校を創立した宣教師たちの願いでもあるはずです。

校訓「心を清め 人に仕えよ」は、自分に与えられた賜物を生かして人に与え他者のために生きよ、と学院にかかわる児童、生徒、教職員を促すものとなっています。

今後の学院の歩みが、神のみ心にかなうものであることを常に祈り求めていきたいと思います。