理事長メッセージ

理事長 伊藤美奈子

理事長 伊藤美奈子

140周年記念事業への多大なご支援に感謝

横浜英和学院は、昨年10月に皆様方の温かいご支援のおかげで、創立140年を迎えることができました。また、その記念事業のために創立140周年記念募金活動を約3年間行っておりましたが、多くの方々からの多大なご協力をいただき、目標額にほぼ近いたくさんのご寄付を賜りましたことを心より感謝申し上げます。おかげさまで大きな夢と希望を抱きつつ、創立150年に向けてあらたな一歩を今年踏み出すことができました。

140周年記念事業の一環である中学高等学校の建築工事はクラブ活動のための部室棟、1学年収容可能な集会室、トレーニングルーム、生徒会室等が設置され、本年12月完成を目指してただ今建築中です。また小学校のAfter Schoolに集う子供たちのために本校の山手時代の校舎を彷彿させるような瀟洒な建物も同時に建築しています。その他の記念事業である第2グラウンドの整備、トイレのリニューアル、幼稚園舎のリニューアル、ICT教育設備はすでに行うことができましたことを心より感謝申し上げます。恵まれた教育環境を与えられ、生徒たちは毎日の学校生活を楽しく、有意義に送っております。

ハインツ庭園が中高の部室棟や、集会室にかわります

上記の現在進行中の工事はキャンパスに残された貴重なgreen beltであったハインツ庭園の跡地を使って行われています。そこは春には木々の芽吹きの美しさが目を引き、秋の紅葉の季節には幼稚園生がドングリ拾いを楽しみ、鳥のさえずりが響き渡り、リスたちの遊び場でもあった自然の宝庫でした。しかしながら、部室棟の建設は長年の生徒たちの要望であり、中高も2018年度より男女共学になったため、必須と考え工事に踏み切りました。

アメリカの缶詰会社の第1代社長ハインツ氏は第8代ハジス校長の山手から蒔田への校舎移転の英断を知り、庭園を造る資金として学院に当時としては大金となる1000ドル余りを送ってくださいました。それをもとに作られたのが最初のハインツ庭園です。卒業生の中には、ハインツ庭園が姿を消したことを残念に思う方もおられると思いますが、常に、レベルの高い新しい教育を追及していたハジス校長も中高が男女共学になり、活発に部活動や生徒会活動を行い、充実した学校生活を送っている生徒たちの姿を喜んでくださると私は信じております。

コロナ禍における本校の教育

さて昨年度はコロナ禍のために通常の教育が行われず、試練の時となりました。しかし人生で起こるすべてのことには何らかの意味が必ずあると言われている通り、私たちは、コロナ禍からもたくさんの事に気づかされ、教えられました。

パンデミックという深刻な危機に直面した今こそ、私たち一人一人が他者のために生きる姿勢が問われていることへの認識。グローバルに関係しあう世界が共生するためには、相互理解、相互支援が必須であること。想定外のことが起きても慌てず、適応力や挑戦力を持つことの大切さ。平凡な日常がいかに恵まれているかの再認識と感謝。その他学び方、働き方、人とのかかわり方、コミュニケーションの在り方など多くのことを考え、実行する機会となりました。

さて本校では数年前から学院全体のICT環境の整備に力を入れていました。光ケーブルによる校舎間のネットワーク接続、すべての教室の無線Wi‐Fiの整備、中高では生徒一人一人の端末機の所持などが整っていました。そのおかげで、突然全国一斉休校になってもリモート教育、オンライン教育に時を経ずして、スムーズに移行でき、授業だけでなくズームを使って毎朝のホームルームや礼拝も守ることができ、生徒の心が学校から離れることはありませんでした。そして世の中では、コロナ感染者に対する偏見が広まっていますが、たとえもし本校において感染者が出たとしても、その人のために祈る学校でありたいと皆が考えています。

全校で取り組んだ140周年記念作文コンクール

コロナ禍だからこそ可能になったことの一つとして昨年の全校挙げての140周年記念作文コンクールの実施があります。創立140周年の記念式典、記念行事などは実施できませんでしたが、3年前から取り組んでいた140周年記念誌の発行は実現できました。写真を多く取り入れ、生徒たちにも読みやすいように編集されました。多くの生徒に自校の歴史に関心を持ってもらうために、当初の企画にはありませんでしたが、創立140周年記念作文コンクールを実施しました。小学生、中学生、高校生の各校から、最優秀賞、優秀賞、努力賞を出すことにして、生徒たちの参加意識を高めました。小学校は、2年生以上全員が取り組みました。創立者ブリテン先生や、34年間校長を務め英和の基礎を堅固にしたハジス先生、校歌の由来、キリスト教学校で学ぶ意義などに関心が集まりました。横浜英和学院の歴史を紡いでいくのは自分たち一人ひとりであるという意識の高まりを期待しています。

学院の原点を大切にしつつ創立150年に向けスタート

横浜英和学院の原点であるブリテンスクールは、1880年、すでにアフリカ、インドでの20数年以上の宣教師としての実績をもつ敬虔なブリテン宣教師によって横浜山手の居留地に創立されました。それは横浜開港からたった21年目の事でした。国境や言語の壁、文化の壁を越えて、グローバルな精神、フロンティア精神を抱いて、58歳での来日でした。

私たちも創立者のこの厚い思いを受け継いで、異文化世界の人々と深いところでつながり、地球人として共に生きる道を模索する姿勢を持ち続けたいと考えています。その第一歩として、オーストラリア、アメリカ、韓国に姉妹校を持ち、双方向での活発な交流を長く行ってきました。

2016年に中学高等学校が、2020年には小学校も青山学院大学の系属校として新たな歩みを始めました。知識探求とともに、キリストの教えを基盤とした豊かな人格の育成に力を入れるという教育理念の一致と両校とも同じメソジスト派の宣教師が創立した学校で、キリスト教学校としての伝統を大切にしている共通点も系属校化への大きな要因となりました。共に協力してより良い教育を世の中に提供することを使命と考えております。

全ての人には、神様から賜物(タレント)と、使命(ミッション)を与えられています。在学中にいろいろなことに挑戦して視野を広め、世界の人々と心を開いてcommunicationをとり、自らのタレントとミッションを探求する日々を積極的に送ることを願っております。そしてキリストの教えをバックボーンにしっかり据え、スクールモットー「心を清め、人に仕えよ」を心にとめて、世界で活躍できる人に成長することを願っています。そのために、学院は日々、学院全体の教育環境を整え、教職員が全力を挙げて一人一人をしっかりサポートできる教育態勢の構築に力を入れております。
学院は今、創立150年に向けて、確かな一歩を歩み始めました。

学院長メッセージ

学院長・小学校長 磯貝曉成

学院長・小学校長 磯貝曉成

創立141年、新型コロナウイルス感染拡大の中、各人はそれぞれにできる感染防止に努め、学院はオンライン教育と対面教育とのハイブリッド教育を模索しながら今日に至っている。このような危機的な時代であるからこそ、各人がどのように生きるかが問われているのではないだろうか。現代社会に対応していく行動力を身につけること、現実の先をも見通して現在を考える深い洞察力、そして何よりも想定外の事象に出会ったときにその現実を静かに受け入れ、その先を信じて生き抜く精神力の育まれることの重要性は申すまでもないことである。

一年以上に及ぶコロナ禍の中で、一人の人が生きるためには、一人の者の努力だけでは済まないことに改めて多くの者が気づかされている。当たり前の生活と思っていたことが、実は様々な人たちの働きによって成り立っていたということに気づいた人たちが、この感染による重大な危機に、自分にできる範囲のことを一生懸命努めることが大切と感じ、動き出していることも事実であろう。わたしたちもまた、この危機的な現実を受け止めながら、学院の明日の姿を描き歩き出している。

子どもたちや生徒たちは、頑張っている。一人ひとりは自分のできる最大の努力をしている。それは自分のためのみならず周りの人たちのためであることを知っているからである。知らず知らずに、人が生活して行く上で何が大切かという重要な体験をまさにこの重大局面で行っている。私たちのスクールモットー『心を清め 人に仕えよ』を期せずして体現していると言えよう。感染の拡大はなお続いているが、弱い者、忘れられている者の存在を思いつつ、地域や国を超え、感染阻止のために各人の出来ることに努力を続けていくことが私たちの使命のはずである。短距離走ではなく、遥か彼方のゴールの見えない長距離走を私たちは走り出している。未曽有のことかもしれないが、一人ひとりにできることを一人ひとりが行いつつ、互いを支え合う気持ちが希望に至ることを信じている。

以下に2021年度の学院事業報告を記す。大きな事業が本年度、動き出す。

学校法人横浜英和学院 2021年度事業計画

学院スクールモットー「心を清め 人に仕えよ」
(聖書 マタイによる福音書5章8節・20章26b-27節)
青山学院横浜英和中学高等学校・青山学院横浜英和小学校・横浜英和幼稚園

2020年4月7日に緊急事態宣言が発令され、新型コロナウイルス感染が広がり、不要不急の外出を避けた生活が今に至っている。リモート・オンライン学習が行われる中で、学校生活の形態もこれまでと大きく変化していった。学院においても計画された事業の多くを延期せざるを得なかった。それぞれの学校において人と人との交わりの中での体験学習がほぼこの一年間はキャンセルとなった。2021年度の教育活動方針と事業計画を言葉だけを列記しても意味をなさないので、昨年度掲げて実施できなかった事柄の中から、この状況下において為し得ると考えられる教学と経営の事柄を次年度の事業計画案として提示する。

1.2021年度活動方針と事業計画
活動方針

(1)キリスト教学校教育による豊かな情操教育を推進する。
スクールモットーの具体化として2020年度~2021年度の学院年間宗教主題に「互いのために祈りなさい(ヤコブ5:16)」が掲げられている。自分中心の生き方を振り返り、自分のためだけではなく他者のために祈ることを学び、考えていきたい。また、この目標はSDGs精神の根底をなすものであり、グローバル社会への関心と働きかけを促す具体策を学院としても考えたい。学校生活のみならず日常生活でもこの目標の実践を図るために保護者にも周知し、協力を仰ぐ。

(2)人と社会のために心身を鍛え、確かな学力を育成するための具体化を図る。
小学校・中学高等学校ではシラバスが作成されている。シラバスの改訂が各学校で毎年なされ、常に課題が論議されていくことを願う。学院としての一貫教育が、小学校・中学校・高等学校のシラバスの連続性によって強化される。さらに教科指導研究(小学校と中学高等学校との教科連携会議等の開催)に学院としての方向性を新たに模索する。

(3)学院に所属する各校の教育活動への法人としての協調と助成を速やかに行う。

事業計画
上記の基本方針のもとに、以下の事項を推し進めていく。

(1)教育施設充実のために中学高校校舎(集会室・部室等)建築、既存校舎(トイレ・教室)改修ならびに学童保育施設を独立して建築する。

(2)幼稚園の健全な運営のために幼稚園の組織・構造の改革を行う。計画の具体化を促し、またその教育の充実のために小学校との連携を図る。

(3)青山学院大学との系属校(小学校・中学高等学校)の具体的連携事項を実施に向けて議論(特に大学と小学校との連携)を深める。

(4)学院の外郭団体との緊密な連携を図る。本学院の丘光会・丘桜会・後援会さらにPTA活動また父の会の拡大など縦横な組織造りを行い、横浜英和ファミリーの活性化を進める。

(5)EIWAブリテンファンドを設立する。
期限を限定せず、卒業生・在校生・卒業生の遺贈、その他学院教育に対する支援者が何時も学院に寄付できる制度を2021年9月に発足させる。
①教育環境・教育施設の整備
②グローバル社会での活躍者の育成

(6)ICT教育の環境整備
個々の学校の特性を考慮しつつ、オンライン教育・リモート教育等、これまで推進してきたICTの環境をさらに整備する。同時にハイブリッド教育を深めていく。

(7)私学における働き方改革の展開
教職員の長時間勤務体制に疑問を投げかける働き方改革の問いかけに、さまざま議論がなされている。このことと合わせて経営と教育との両面から横浜英和学院のあるべき姿の構築をめざす。特に中学高等学校のクラブ活動等のあり方を検討する。

(8)組織のシンプル化
学院内の様々な組織の重なりを排除し、時代に適う組織の精選を検討する。各校および学院における教職員の意思の疎通がよりよく行われる組織の実現を図る。

(9)キリスト教学校教育組織との連携
キリスト教学校教育同盟およびキリスト教保育連盟さらにカトリック学校連合との連携を深め、その共通の目的をこれまで以上に推進する。このことはキリスト教学校に勤務する教職員一人ひとりに研鑽の機会を提供することにも繋がっていく。

(10)各校の事務室及び本部事務室のこれからのあるべき在り方を検討する。
事務長の交代に伴い、これからの時代に即応できる長期的な組織構造を考える。

11)学院の歴史を編纂し、教育に生かしつつ、後世に伝えていくために学院の歴史研究施設として「永井記念学院歴史展示室」を設置する。