みつける
心地よい季節から、蒸し暑い季節に変わりゆく時期を迎えました。新年度開始から2か月近くたち、園児も、またご家族も疲れを覚える時期だと思います。体調に留意してお過ごしください。
さて新しい環境に慣れてきた園児は、自分らしさを発揮し始めています。虫探しに興味を持っている年中さんは、今日も数人が連れ立ってダンゴムシを探しています。おすもうに興味をもった年長さんは、今日も白熱した戦いが繰り広げられています。
そんなお兄さんお姉さんの様子を、横目で見つつ、砂や水、お花に触れ合う年少さん。
ある時、年長男児対年長男児の、白熱したお相撲のそばで、それをしばらく見ている年少の女の子がいました。年長男児も「おっ?」とした表情で年少女児を見てはいましたが、白熱戦がつづきます。次の瞬間、この年少女児がお相撲に参加していきました。この女の子、ルールは分かっている様子。「はっけよ~い」で動かず両手をつき、「のこった」で攻めに入ります。一方、年長お兄さんも年少の女の子に合わせ、「はっけよ~い のこった!」をしてくれているのです。
攻めてくる女の子、おっとっと・・・と、ポーズをとり、負けてくれる年長男児。園庭でのこの様子を、何人もの教師が見守っていました。私もその一人なのですが、見守る私たち教師は自然と笑顔になり、心にほわっとあたたかいものが流れました。もちろんそれは、年長児のあたたかさを、優しさを感じた瞬間だからですが、さらに、年少児の年長の遊びに対する「憧れ」や「あんな風にやってみたい」という前向きな気持ちを感じ取った瞬間だからでもあります。
さて今月の主題は「みつける」です。自分で好きな遊びを見つけることも大切ですが、仲間とともに見つけることも、憧れから遊びを見つけ出すことも、どれも大切な経験です。好きな遊び、時間を忘れるほど没頭できる遊びに出会ってほしい、と願っています。
一方で、「見ているだけ」という状態の時があります。この「見ているだけ」に出会ったら、大人はどうしますか?
その子は興味があるから「見ている」のです。見ていてイメージを膨らませ、遊びの輪に入る自分のタイミングを見計らっているのでしょう。その後は、好奇心に火がつき動き出すことでしょう。この好奇心に火が付くまで、大人は気長に見守ってあげてほしい、と思います。
幼稚園では、好きな遊びを「みつける」ことができるよう、環境を整えて、園児の登園をスタッフ一同楽しみに待ちたいと思います。
園長 岡田 直美