【9月 園長だより】

2024.09.04

「平和を祈る」

 

長い夏休み、保護者の皆さまは、お子さんたちと、どのようなに過ごされたでしょうか。お休み中の、保護者の皆さまのお支えを感謝いたします。

幼稚園に、元気な子どもたちの声が戻ってきました。この声、笑顔、とても嬉しく感じています。

今年の夏は猛暑が続き、9月になっても厳しい残暑が続いていますから、熱中症や感染症にも心を配りながら、2学期も全スタッフが総力を合わせて保育をおこなっていきたいと思います。

 

さて今月の主題は「平和を祈る」です。

日本は8月に終戦記念日をむかえますから、子どもたちのなかにも、ニュースで「平和」という言葉を聞いた子もいるかもしれません。またはパリオリンピックを見て「なんであの国は出ないのかな?」という疑問から、世界で起こっている戦争に気付いた子がいるかもしれませんし、保護者の方たちから「平和」について話しを聞いたり、考えたりする機会が与えられた子どもたちがいるのかもしれません。

園児の発達段階は様々ですから、個人にあわせた「平和」について考えてみてほしいと思います。

ずっと昔、私が新任だった頃、沖縄でキリスト教保育連盟の夏期講習会があり参加しました。開会礼拝から始まるこの研修会では、ひめゆり学徒隊だった方から、直接、お話を伺う機会を与えられ、ただただ涙が止まらなかったことを覚えています。

沖縄県立第一高等女学校と沖縄師範学校女子部の両校から、200名以上の学生と引率教師18名、計240名からなる学徒隊は、沖縄陸軍病院に看護要員として動員されました。

横穴壕の土壁に2段ベッドを備え付けただけの場所に、負傷した兵士を収容し、学徒隊が看護や世話にあたったそうです。

負傷した兵士を励まし続けていた女学生が、食事の補佐をするよう命令され、壕を移動するときに爆死してしまったこと。

ひとつの壕に、重症の負傷者が集められていることを不思議に思いつつも、手当をしていたある時、学徒隊はこの壕から違う壕に移るように命令されます。ほんの2、3メートル離れた壕への移動も命懸けだというのに、壕を移る理由は一切聞かされなかったということです。壕を出たら、後ろを振り向かずに進め、というのが命令だったそうです。が、お話をしてくださった学徒隊の方は、振り向いてしまった。上官がその重症者ばかりの壕に、手りゅう弾を投げ込む姿を見てしまったと、泣いていらっしゃいました。

私も戦争を知らない世代です。が、話しを聞くだけで、戦争の悲惨さが容易に想像できます。けれど悲しいことに、世界を見渡せば、今も、戦争をしている国々があります。

憎しみが憎しみを生み、憎しみの連鎖を断ち切ることができずに戦争が生まれてしまうのでしょうか・・。

今を生きる子どもたちに、悲惨な体験を絶対にさせてはいけません。

大人たちひとりひとりが、平和の大切さを、今一度真剣に考え、自分たちに出来ることを選び取っていく。今を生きる子どもたちの未来が、平和な世界であるよう、祈り願って生活をしていきたい。と、強く思わされる月主題です。

 

最後に、谷川俊太郎さんの「へいわとせんそう」という絵本があります。ご存じの方も、いらっしゃることでしょう。この絵本も、胸が締め付けられる一冊です。機会があれば、ご一読ください。

                                                                                                                                                 岡田直美