中村 貞雄
子ども達が楽しみにしている夏休みが始まります。家族で旅行に行ったり、日常できないことに挑戦するなど、思いっきり背伸びができる夏休みになるよう計画してみてはいかがでしょうか。
厚生労働省によれば、労働者には年休が年間最高で20日間付与されています。ただ、2022年の年休付与日数は、平均17.6日でしたが、取得率は62.1%。5日は取得させるよう企業に義務付けられた19年以降上がったとはいえ、なお4割は未消化ということです。しかもフランスのように「連続〇〇日」という定めがないため、長期旅行などでなく日常の用を済ますのに、ばらばらで使われているようです。
経済協力開発機構によると、日本の年間労働時間は、先進7カ国(G7)の国に大きく水をあけられているのが実情です。1980年ごろに比べれば、相当短くなってきてはいますが、年休消化の状況に鑑みると、まだ企業文化の中に「休み」を後ろ向きにとらえる意識が残っています。年休を取りにくい最多の理由は「みんなに迷惑がかかるから」で、働く人にそうした「罪悪感」を抱かせる状況があることも事実です。フランスのバカンスは、「働く」ではなく「休む」で経済を上向かせるという発想とのこと。例えば、日本生産性本部の提言機関は、「年休完全消化」が達成されるだけで5兆円近い余暇消費支出が見込め、関連を含めた経済波及効果は15兆円以上と試算しています。
もちろん、一番重要な効果は、生きる上での充実感、幸福感への寄与です。ストレス軽減で心身には好影響を及ぼし、新たな学びや活動に挑むことも家族の絆を強める経験をすることもできるはずです。子ども達も同じです。
普段、忙しくしている皆さん。せめて子どもの夏休みに合わせて、思い切って年休を使った「日本流バカンス」を計画してみてはいかがでしょうか。きっと、子ども達は大喜びのはずです。