中村 貞雄
子育てにおいて大切なのは、親子の信頼関係です。特に小学生の時期は、親を離れたり、親のそばに戻って密着を繰り返したりの「自分」というものを形成している時期だと言われています。心が揺れ動く中でバランスよく成長するには、内面の安心・安定、自分の人格と能力への信頼が欠かせません。この時期に親が心にとめておきたいのは、「我が子は自分を信頼しているだろうか」という問いかけです。どうすれば子どもの愛情のタンクを満たし、安心と信頼を与えてあげられるのでしょうか。
先ず、子どもが何も話してくれない、とよく聞きます。これは、親が普段から子どもの話を聞くための時間や空間を取ってない可能性があります。食事や入浴、夜寝る時など、できるだけ落ち着いて親子2人で話す時間を作ってみて下さい。まずは黙って子どもの話に耳を傾け、親の方も今日楽しかったことや嫌だったことを話すとよいでしょう。
また、子どもは、関心を引こうとして騒いでいるのではなく、関心を示してもらえなかったことがストレスで騒いでいるのです。寂しかったり退屈だったりするとき、脳は「幸福ホルモン」と呼ばれるオキシトシンを必要としています。これは親の愛情不足ということではなく、何らかの理由で空になってしまったタンクを再び満タンにする必要があるということです。親が優しいまなざしを返すだけでも落ち着きます。愛情のタンクが満タンになると、次への準備ができると言われています。
2024年度後期が始まりました。親子の信頼関係があっての学校生活です。親も子も、お互いにとって良い関係を保つためにはどうしたらよいか、考えていきましょう。来月も「親子の信頼関係、その2」をお届けしたいと思います。