メリー・クリスマス

2024.12.02

                          中村 貞雄

 今年も痛ましい事件が多くありました。中でも、子ども達が犠牲になる事件は、どうにも悲しみを超えて虚脱感しかありません。昨年一年間で虐待の疑いがあるとして全国の警察が児童相談所に通告した子どもの数は、過去最高だったと言います。虐待にしても犯罪であっても、そこにほんの少しあたたかな気持ち「愛」があれば、子ども達の命が救われたのではないかと考えてしまいます。

 今の社会には孤立感を覚える人が、無数に存在しているのではないでしょうか。何かのコミュニティに参加しようが、会社に籍を置こうが、遊び友達がいようが、それとは別に「心」が孤立しやすい、どこか寒い世の中だろうと思ってしまいます。人は、何らかの形で人と繋がっているという安心感、一人ではないという実感が必要なのです。スマホやコンピュータを通しての会話や情報が交錯し、一見コミュニケーションを取っているような錯覚を覚えますが、スマホやコンピュータが使えなければ、この関係は一瞬にして途絶えます。逆に「孤立感」がさらに助長されてしまいます。

 高学年になればなるほど子ども達の日常生活は忙しく、慌ただしくなります。それは、世界が広がり興味・関心が増すと共に、あれもこれもと子ども自身そして親の要求も高くなるからだと思っています。一方で、大人以上に人と繋がっているという安心感、心が孤立しないことも大切になります。小学生までは、どういう家族のもとでどういう関係性の中で甘えを受け止められてきたか、どれだけ安定した基盤がその子の内部に築けたかが重要だと言われています。

 人は、離れすぎず、近すぎず「心のキャッチボール」をすることで生きていける動物です。「神は、その独り子をお与えになったほどに、世を愛された(ヨハネ 3-16)」。御子イエスの誕生が、全ての人の心をあたたかさで満たすことができる、それがクリスマスです。メリー・クリスマス。