中村 貞雄
第33回夏季オリンピック・パリ大会が閉幕しました。選手数は、史上初めて男女同数となり「ジェンダー平等」の理念を反映した大会でもありました。日本選手団は、金メダル20、銀12、銅13の海外五輪の最多記録を更新しました。
一方、大会中は交流サイト(SNS)で誹謗中傷が相次ぎ、傷つけられた選手も少なくなかったようです。今、芸能関係も含めて冷静な批判とは違い、感情に任せて誹謗中傷する行為自体、非難されるべきなのは当然ですが、匿名に隠されたネットの世界では、言葉が過激化しやすいのも特性とされています。今年の夏は特に、このような出来事を知ったときに、「今は失敗が許されない社会に代わってしまった」と感じています。何かに挑戦する過程で、うまくいかなかったり結果が出なかったり、モラルある行動とは言えないような道を外してしまうこともあります。人間ならば誰もが少なからずあるはずです。それが人間なのです。
学校の教育現場(少なくても幼稚園、小学校)では、やってみて、振り返り、経験からの学びを気づきとして、次の実践に生かす、ということを繰り返しながら学んでいく学習プロセスがあります。失敗してもその考えや行動に想いをはせ、反省しながら、さらなる挑戦を応援する。それが教育であり、人間としての成長につながります。大人たちが、失敗した若者を交流サイト(SNS)等で匿名で批判する社会の先に、何が待っているのでしょうか。キリスト教は「許し」の宗教です。私たち大人が許し合い、再び失敗しない、踏み外さないような社会にし、子どもたちや若者たちを支え、自分たちの可能性に何度でも挑戦していける世の中の必要性を感じています。失敗は宝なのです。
夏休みも終わり、今月で2024年度の半分、前期が終了します。前期の学校生活はいかがだったでしょうか。担任との面談を通して前期を振り返り、信頼関係の中で後期もより良い学校生活ができるよう願っています。