【校長通信1月】 「伝え遺していく」

2016.01.13

 上 戸 秀 夫

 

 2016年が始まりました。本年もどうぞよろしくお願いいたします。国内を見ると,解決しなくてはいけない問題を多く抱え、世界を見ても戦争が終わらず,他方,地球全体に関わる環境・飢餓などの大きな問題を抱えつつ,新しい年を歩み出すことになりました。ともすれば,自分たちだけが満足できる生活ができればよしという考え方に陥ってしまいがちな私たちですが,もっと広く大きな視野から自分を見つめ直して,この1年を過ごす必要があると再認識しています。

暮れから正月にかけてのお休み。犬とたくさん散歩しました。地元は細い道が多いため,大きな犬を連れていると,すれ違いに支障をきたします。こちらが気を使って,自転車が来るとわかったら早くから脇によけて通過を待ちます。人とのすれ違いでも同じです。その時に,どちらかと言うと年配の方は会釈をしたり,すみませんと一声かけて通り過ぎられます。気遣いを感じてくださっているのです。ところが,若い方たちは当然という顔で通り過ぎられます。道を歩いていてもそうです。譲るということをあまりされません。こちらが譲るのが当然という態度です。ぶつかりそうになると,睨まれてしまいます。ちょっと悲しくなります。昔から日本には、「江戸しぐさ」という良い文化がありました。お互いが不愉快な思いをしないで,気持ちよく生活するために,相手を思いやる知恵そして文化です。今はその良い文化・習慣が忘れ去られているようです。

 お正月のならわしもそうですね。一つ一つ願いを込め意味を持って作るおせち料理。日本の伝統的な正月の迎え方。その背後にある新しい年を迎える意味。そのよう文化がだんだん伝えられなくなり,周りから消えていくようです。形は残るかもしれませんが,その背後にある心・文化が伝えられなくなっているようにも思えます。

 子どもたちへの教育も同じかもしれません。国語ができる,算数ができると知識のみ偏重する教育ではなく,家庭でも学校でも,日本の文化を伝えていく教育をすることも必要ではないでしょうか。「こんなことを思うのは,おまえさんも歳を取り過ぎたんだよ。もっと,明るくならなくては」と言う自戒の念を抱きながら,新しい年を迎えました。